SDGsスタートアップセミナーで「リーンスタートアップ実践者によるSDGs事業立ち上げ支援の取り組み」という発表してきた
はじめに
こんにちは、グローバル事業部の藤村です。2022年3月12日に開催されたSDGsスタートアップセミナー ~SDGsを学んだあとのSDGs実践に向けて~で、「リーンスタートアップ実践者によるSDGs事業立ち上げ支援の取り組み」という発表をしてきました。私がPMI日本支部のイベントでお話しするのは7年ぶり2回目となります。
登壇資料
私の登壇資料はこちらです。
登壇内容ダイジェスト
経緯
そもそもPMIのSDGsスタートアップ研究分科会に参画したきっかけは、当分科会の代表で、アジャイル友達の稲葉さんのこちらの投稿でした。
プロジェクトマネジメントやアジャイルの知見や経験、そしてSDGsの知見や想いをもって一緒に活動してくれる仲間を募集しています。
私は元々農業や食糧問題の課題解決に興味があり、カンボジアのアグリテックベンチャーを見に行ったり、大学の社会人向け農業コースを受講したり、北海道のアグリテックベンチャーに転職して働いたりしていました。もちろんSDGsにもとても興味はあったので、この投稿を見て自分のアジャイル等の経験を活かしながらSDGsに関われる良い機会だと思い、すぐに稲葉さんに連絡を取ってPMIに入会し、1年弱の間プロボノとしてアドバンスコースのPMを担当させてもらうことになりました。
SDGsスタートアップ方法論
SDGsスタートアップ方法論については、稲葉さんのスライドをご参照ください。
今回の支援でも、SDGsスタートアップ方法論に則って、以下のステップで進めました。
- リーンキャンバス作成
- ゴールマッピング
- ターゲット設定
- ロジックモデル作成
- ベネフィットリスト作成
※ベネフィットリスト作成までは進められませんでした
やったこと
支援先のウイルパワー代表の江川さんとともに実施したワークショップは計13回、延べ30時間を超えました。
年間を通して実施したワークショップ全体の流れは以下のとおりです。
- リユース・リサイクル業界の基礎知識、業界の課題、その中でのウイルパワー様の取り組みについてヒアリング
- ふりかえり、ゴールの認識合わせ
- PMである私がリードしながら、リーンキャンバス作成
- ふりかえり実施
- 同じくPMである私がリードしながら、ロジックモデル作成
- ふりかえりを実施して方針転換。リーンキャンバスやロジックモデルなどの成果物作成を重視する支援から、方法論の伝達を重視する支援へ。
- 支援先の江川さんがリードしながら、リーンキャンバス作成
- ふりかえり実施
- 支援先の江川さんがリードしながら、ロジックモデル作成
- 全体ふりかえり実施
わかったこと
バックキャスティングの視点
基本的にSDGsはバックキャスティングのアプローチであり、リーンスタートアップはフォアキャスティングのアプローチと言われています。SDGsスタートアップ方法論ではそれら2つのアプローチをうまく組み合わせる工夫が沢山盛り込まれていますが、リーンスタートアップのフォアキャスティングのアプローチに慣れきってしまっていた自分にとって、バックキャスティングのアプローチと、その成果物であるロジックモデルの作成にかなり苦労しました。
バックキャスティングのアプローチを考える中で、以前読んだ『ゼロ・トゥ・ワン』で著者のピーター・ティールが、「大胆な計画のない単なる反復は、ゼロから1を生み出さない。」と書いていたことを思い出しました。この大胆な計画が、SDGsスタートアップ方法論におけるロジックモデルに該当するのではないかと考えています。
その他に難しかった点としては、「SDGsの顧客は誰?」という問いがあります。 リーンスタートアップを進める際は、常に「顧客の課題」が解決されているかを検証しながら開発を進めますが、SDGsのプロジェクトにおける顧客は誰で、その顧客が持つ具体的な課題はなんだろうという問いに対する答えが曖昧なまま進めてしまっていました。こちらについては、未だに明確な答えは持てていません。
次にやること
今回プロボノとして、SDGsに取り組むウイルパワー様の支援を1年弱の間行なってきましたが、どうしても片手間での支援となってしまい、自分としては悶々とした気持ちを抱えてしまっていました。どうせならとことんSDGsの達成に向けて注力したいという思いが強くなり、次は本業の受託開発や開発支援において取り組んでいきたいという思いを持っています。今後そのようなプロジェクトの機会に恵まれたら、今回学んだSDGsスタートアップ方法論を現場で実践し、その結果から学び、プロジェクトの成功に全力を尽くすとともに、その学びをSDGsスタートアップ方法論へ積極的にフィードバックしていきたいと考えています。
まとめ
全体のまとめは上記スライドのとおりです。
さいごに
さいごに、私が尊敬する瀬谷ルミ子さんの著書である『職業は武装解除』からの言葉を引用します。 私自身が「状況を変える側」の人になれれば最高なのですが、残念ながら私には状況を変える力がありません。その分私は「状況を変える側」の人を全力で支える人になりたいと思っています。今回プロボノとして支援させて頂いたウイルパワーの江川さんは、まさに「状況を変える側」の人で、この1年間の活動はとても楽しく有意義な時間となりました。今後も瀬谷さんや江川さんのように、「状況を変える側」の人を全力で支援していきたいと考えています。